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国産のウールのお話

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世界一ウールを消費している日本人

先日訪れた取材先で、ウールは繊維全体の生産量のうち、2%以下しか作られていないレア・ファイバーなのだということを知りました。「ウールはとても身近な素材なのに……」と私が首を傾げていると、「それは日本人が世界で一番ウールを消費しているから、そう感じるのだ」と教えていただき、さらに驚きました。

日本科学繊維協会「内外の化学繊維生産動2013年」を基に作成

日本科学繊維協会「内外の化学繊維生産動2013年」を基に編集部作成

国全体としての消費量は、中国・アメリカに次ぐ第3位なのですが、人口を考慮すると、日本人がダントツ1位となる計算です。日本は、サラリーマンのスーツ、学生や官庁の制服としての消費量が底上げしていることもあり、最高級の梳毛糸をたくさん消費しているのですね。

ウールの自給率は?

では、日本のウールの自給率は? これは、データがあるわけではありませんが、日本に2万頭前後しか羊がいないことを考えると、仮にその全ての羊から毛を採って利用したとしても、0.1%未満なのは、間違いないようです。

ウールに限らず自給率が低いことには、さまざまな問題があるといわれています。国内の農業の衰退を招くとか、輸送に伴う環境への悪影響とか、万が一輸入ができなくなった際にどうするのか……などなど。しかし私が考える、もう一つ重要な問題点は「人々が、その素材の背景に、興味を持たなくなってしまう」ということです。

小さいときから「お米は、お百姓さんが一生懸命作ってくれたのだから、一粒でも無駄にしちゃいけないよ」と教えられます。でもウールについて、その背景を語ってくれる人は、いったいどれだけいるのでしょうか? ウールにさわったとき、羊のヒストリーや牧場での羊の様子を思い描ける人がどれだけいるでしょうか? 興味を持たなくなると、生き物からいただいたものなのに、工場で生産される工業製品と勘違いして、本当の価値が分からないまま必要以上の消費をしてしまうことにつながる気がするのです。

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