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「あなたのエシカルなこだわりを教えてください!」 @そごう横浜公開インタビューレポ(Phuhiep編)

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5月より、お届けしています、EFJ代表イオの公開インタビュー@そごう横浜も今回で3回目。今回はベトナムでアクセサリー作りをしているphuhiepの大野さんにお話をお聞きしました。

5月29日(日) 14:00〜

Phuhiep Marketing Director/ドッツジャパン合同会社 代表 大野真貴子氏

フーヒップとは?

身につける人が持つ空気感をプラスすることで100%になるような、どこか"未完成"な存在でありたい。自分らしさを大切に、しなやかに力を抜いて生きる大人の女性に選ばれるアクセサリーでありたい。というコンセプトを持ったエシカル・アクセサリーブランド。2010年にスタートし、今年で6年目を迎える。

 

 

竹村伊央(以下、敬称略):フーヒップはどんなブランドでしょうか?

大野真貴子氏(以下、敬称略):フーヒップは、ベトナムに住む若い女性たちの自立支援のために立ち上げた、エシカル・アクセサリーブランドです。フーヒップという名前は私たちがアクセサリー作りのためのアトリエを構えている古都フエのとある地域の名前です。私は主に、マーケティングやセールス、現地のアトリエの女の子たちと人間関係を構築して、彼女達の成長を促すような人事の部分をサポート等しています。

 

竹村:なぜベトナムを選んだんですか?

大野:私自身、いつかエシカルファッションを関わる仕事をしたい、と思っていたわけではなくて、ベトナムに出会ったのも縁だったんです。現地のアトリエにいる日本人メンバーは、大学時代の友人なんですが、彼女がたまたまフエというベトナムの中部に位置する地域に住むことになったんです。そこで、学校に行く時間なのに小さい子供達が市場で親の手伝いをしている光景を目の当たりにしてなんでなんだろうと疑問を持ったんです。フエという地域は世界遺産にも登録されているような古くて伝統的な地域なんですが、実は戦争の影響を強く受けている地域でもあって、貧しさから抜け出せない人々がたくさんいるんです。このような事実を彼女から知って、ベトナムに住む人々の力になりたいと思うようになりました。

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竹村:なぜフエの女の子たちは学校に行けないのでしょうか?

大野:フエには街の真ん中に川が流れているんですが、かつてその川の上で生活している船上生活者が多くいました。しかし、フエの観光地化政策として彼らは陸へと強制移住させられたという過去があるんです。いきなり陸で住みなさいと言われても、彼らは職もないし、ましてや勉強したこともなかったのでお金を稼ぐことができず、ドラッグやお酒に溺れる大人たちが多く生まれてしまいました。そんな大人の子供達が、経済的な理由で学校に行けないのです。

 

 

竹村:なるほど。では、今一緒に仕事をしている人はどんな人たちですか?

大野:元船上生活者の人々が暮らしていた地区のひとつ、フーヒップで生まれ育った20歳前後の若い女性達です。今は10人弱の職人達がいて、彼女達はフーヒップ地区にあるアトリエに毎日通ってアクセサリーを作っています。

 

竹村:なぜアクセサリー作りを始めたんですか?

大野:HUE HAPPY PROJECTといって今でもPhuhiepの売り上げの一部や個人団体様からのご寄付で我々が運営している非営利活動があります。2007年にその友人がベトナムに移住した直後から、小さい子供向けの教育支援活動をずっと続けていました。しかし、当時10歳くらいだった子達が17~18歳くらいのティーンになってきて、昨日は来てたのに今日は来ていない、みたいなことが多くなってきて。なんでなんだろうと疑問に思っていたら、親に都市部へ出稼ぎに強制的に行かされてしまったり、最悪の場合だと売春に巻き込まれるような状況が生まれてしまっていたと言います。その時に、長い目で見て彼らに必要なことは、彼らが安心して仕事ができる環境づくりや、自立を支援できるような安全な仕事を提供することだと。それがPhuhiepというブランドの誕生につながりました。

 

竹村:最初は小さい子供達への教育支援からスタートしていたんですね。子供にアプローチしたのは、何か理由があったんですか?

大野:経済的な理由から学校に行かず親の仕事を手伝って、将来的にきちんとした職に就けずに大人になっても貧困に陥るといった負の連鎖があるんです。

読み書きって、フーヒップの仕事の中でもとても大切なことなんです。たとえば、アクセサリーを作っている時色の名前を覚えたり、形を覚えたりしなければならないですよね。読み書きとか計算ができないと仕事に繋がらないので、教育は大切だと感じています。

 

PAL-SV-08_2竹村:では、実際の商品の説明をしてもらいたいと思います。フーヒップのアクセサリーはどんな風に作っているんですか?

大野:はい、わたしたちフーヒップのモチーフはこのような丸いリングです。これは絹糸やコットンの糸などを輪っかの部分に編み込んで一つずつ作っていきます。かぎ針を使って一つずつ、丁寧に作っているんですよ。

 

竹村:この丸いシグネチャーに込めた思いがあるんですよね?

大野:アトリエがあるフエという地域はとても古い町で、ベトナムの中でも保守的な地域です。日本でいうと京都のイメージに近いですかね。なので、昔からのベトナムの暮らしや生き方を大切にしていて、旧暦に沿った暮らしを続けているんです。たとえば、満月になったら五穀豊穣を願ってお供えをしたり、というような感じですね。月の満ち欠けを基本とした暮らしをしている現地の女性達にとって、月はとても身近な存在なんです。

また、生産者を始め、この商品を手に取ってくれるお客様、フーヒップに関わってくれているすべての人々に幸せの循環が生まれることを願って、リングの形にしています。

 

 

竹村:月をイメージしたモチーフだったんですね、そう聞くと月の満ち欠けに見えてきました!

大野:ありがとうございます、この商品は2色の絹糸を使っているんですが、2色使うのは職人の中でも4~5年働いている熟練の職人の技なんです。

 

竹村:フーヒップを始めた時と今で、働く女の子たちに何か変化はありましたか?

大野:つい先月ベトナムに行った時、アトリエにいる女の子の一人が結婚しまして、はじめてアトリエからお嫁に出したんです。結婚の後も仕事を続けてくれるそうで、とっても嬉しかったですね。

 

c77ff7cc10b2f498c1405a4f8009a20d竹村:それは嬉しい出来事ですね、アトリエではどんな変化があったんですか?

大野:アトリエで働く女性アーティザンたちは、もともと少女時代にHUE HAPPY PROJECTで識字教育を受け、職業訓練に通ってきていた子どもでした。当時はみんな子供だったこともあって10分も机に座っていることさえできないような状態だったと言います。集中力がなかったし、訓練を受けている、お仕事でやっているという認識がなくて、まず作業をしてもらうことが大変でしたね。でも年月が経つうちに、アトリエで辛抱強く、仕事をすることの大切さや意味を繰り替えし指導したり、Phuhiepとして職人ひとりひとりの個人の成長につながるようなプログラムをバックアップしたりしながら、プロフェッショナルな仕事なんだという認識が芽生え始めて、今ではみんな集中して作業に取り組んでくれています。

最初は簡単なものから作り始め、繊細なもの・2色使いのもの・絹糸を使ったものなどが徐々にできるようになっていきました。技術が少しずつ伴ってきたということもあるんですが、彼女達の成長の証だと思っています。難しい技術をできない、と妥協していたら今のようにこんなバリエーションが実現できなかったと思うし、もっと成長したい、という思いが芽生えてきているんです。なので、我々のデザインの変化というのは、彼女達の成長の証なんです。

 

竹村:新しい技術を持ち込んだ時の彼女達の反応はどうですか?

大野:とても嬉しそうです。最初は難しそう〜って反応するんですけど、じっくり観察して取り組んでくれます。知らないことを教わって、乗り越えられるという喜びというのがわかるようになってきたんだと思います。

 

竹村:アトリエの女性職人達だけでなく、彼女達の周りの環境にも変化はあったんですか?

大野:もともと彼らの育った地区には素敵で輝いている大人がおらず、子供達も明るい未来を描くことができないような状況でした。しかし、フーヒップのアトリエで働いている女の子達はみんな明るく、前向きに働いています。自分自身を高めている、自分の力で生活を組み立てている若いお姉さん達を身近に見られることで、「ああいうお姉さんみたいになりたい」と思ってくれる小さい子供が増えました。アトリエにも、将来入りたいと言いに来てくれる子もいるんですよ。

 

スウィングピアス Pierced Earring Swing_3竹村:いい循環が生まれているんですね。ところで、フーヒップではセカンドラインを出されたんですよね?

大野:はい、これはSEEDS by Phuhiepというラインです。デザイン、素材ともにとてもシンプルなんですが、これは主にアトリエに入ってまもない職人達を中心にトレーニングとして作ったものです。なのでお値段もお手頃なんです。まともな雇用を一つでも増やしたい、という思いで始めました。

 

竹村:フーヒップのアクセサリーの特徴はなんでしょう?

大野:そうですね、最大の特徴であり、私のオススメポイントはやはり軽さです。大ぶりなものでも、5~6グラムくらいしかなくて、とても着け心地がいいんですよ。

 

 

竹村:今後フーヒップとしてどんなことをしていきたいと考えていますか?

大野:今働いている女の子達は、アトリエに入って、職人になって、お給料をもらって、次の目標を持って、と着実に自立・成長しています。次はそんな彼女達に、私たちが続けているHUE HAPPY PROJECTでの「小さな子供のための教育支援」活動に、積極的に関わってもらって行って欲しいと思っています。自分が暮らせるようになって、今度は自分たちが生まれ育った地域の子供達に読み書き計算などの基礎学習はもちろん、「仕事をするってこんなこと」「栄養を摂ることの大切さ」などフーヒップを通して学んだライフスキルを子供達に伝えていって欲しいと思っています。

 

アトリエで働く女の子達が、フーヒップで働くことを誇りとして、成長の証として捉えているというお話が印象的でした。普段なかなか生産者のことを詳しく知るのは難しいと思いますが、こうしたインタビューならではのお話が聞けてよかったと思います。心に響くお話で、インタビューのあと大野さんに直接話を聞きに行っているお客様も何人か見受けられました。

 

現在、phuhiepはプランタン銀座4F、EFJSTOREで6月のマンスリーブランドとして出店中。興味を持った方はぜひ、店頭で実際のアクセサリーを見にきてくださいね。

<文:大嶋結衣>

 

 

 

 

EFJ STORE at Printemps Ginza

場所:プランタン銀座4F(〒1 0 4 - 0 0 6 1 東京都中央区銀座3-2-1)

期間:3月9日~8月末日

お問い合わせ:03-6228-6023

参加ブランド:ピープルツリー/ Feliz / Livira / RDF / R Ethical Jewelry/KISSACO 他

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