今回のイベントは、一般社団法人エシカル協会代表理事の末吉里花さんとエシカルファッションブランド「Liv:ra(リブラ)」の代表小森優美さんが登壇し、里花さんの活動とメイドインジャパンの草木染めブランド「Liv:ra(リブラ)」の共通点でもある「日本の古き良き時代から学ぶファッションの新しい可能性」をテーマに、トークセッションが行われました。
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日本のアイデンティティを 継承する
小森さんが草木染めを選んだ理由に、日本のアイデンティティだからと話します。「草木染めって年配の方のイメージですが、日本ではずっと昔から続けてられてきたこと。薬効があると信じられていたんです。これは自分の国のお守りになると思いました。それをもっと若い人に知ってほしいし、次世代にきちんと継承していきたい。」
しかし、エシカルファッションはまだまだ市場としては小さいのが現状です。ていねいなものづくり、雇用環境や環境負荷に配慮した商品をつくるには、値段も高めの設定でないと成り立たず、小森さんが届けたい若い世代には買いづらい価格設定です。そこで小森さんは、受注システム構築のためのクラウドファンディングを立ち上げました。
在庫を持たずにコストを削減すれば、商品価格が下げられます。在庫のリスクはどのアパレルも抱えているので、それを解決するきっかけになるのでは、と小森さんは話します。アパレル業界の推定消化率も下がっているという分析もあり、それにもかかわらず、いまだに作っては捨てている現状があると末吉さん。
古着を途上国へ寄付する対策も出ていましたが、現地の産業が潰れてしまうことから、42カ国で輸入禁止の法律もつくられました。「ラナプラザの事故のこともありましたが、Liv:raさんのように目の行き届くブランドが必要です。」と末吉さんは話します。
業界のビジネスモデルを根幹から変えることは、とても時間がかかり簡単なことではありません。ただ、それを環境にも人にも負荷のない形に変えていくには、やはり消費者である私たちが、より良い選択をし続けていく他ありません。一人の主婦の声によってフェアトレード製品を扱い始めた大手企業もありました。一人ひとりの力が社会を変えるきっかけになれる、そう末吉さんも言葉に力を込めます。
「エシカルは欧米から始まった言葉ですが、もともと日本には”もったいない””足るを知る””三方よし”などの精神があります。本来日本はリードできる存在なんです。」
その精神を受け継いできた日本人は、本当はどこの国よりも知っているはず。私たちの祖先がやってきたことを学び、今の時代に合わせて実践することが何よりもサステナブルなことなのだと気付かされた時間でした。
<文:松尾 沙織>
◆ プロフィール
末吉里花さん 一般社団法人エシカル協会代表理事 慶応義塾大学総合政策部卒業。TBS系『世界ふしぎ発見!』のミステリーハンターとして世界各地を旅した経験を持つ。また司会や、レポーター、moderatorもこなす。フェアトレードやエシカルを中心に活動を展開し、日本全国の企業や高校、大学などで講演、各地のイベントでトークショーを行う。 著書に「祈る子どもたち」(太田出版)。新刊「はじめてのエシカル」(山川出版社)。消費者庁「倫理的消費」調査研究会委員(2015.5~2017.3)、東京都消費生活対策審議会委員、日本エシカル推進協議会理事、NPO法人FTSN(Fair Trade Students Network)関東顧問、1% for the Planetアンバサダー、ピープルツリーアンバサダー http://ethicaljapan.org
小森優美さん 株式会社HighLogic代表取締役 Liv:ra(リブラ)デザイナー 2006年大阪モード学園卒。新卒でファストファッションの先駆け企業のデザイナーとして就職後、商社系ブランドライセンス事業会社の新規事業開発室に転職、新規ブランド立ち上げの仕事に携わる。2010年独立、株式会社HighLogic設立。 当初はファストファッション通販会社として始めたものの売上至上主義の仕事に疑問を感じ、 自然や人、地球と調和したファッションのあり方を模索しながら 2013年メイドインジャパンのエシカルファッションブランド"Liv:ra(リブラ)"開始。 以後、エシカルファッションデザイナーとして活動する。 2016年、エシカル仲間INHEELS、下北沢のカフェanthropと共に東京下北沢に複合コンセプトストアCHANNEL01オープン。プレマ株式会社と共同開発のCure Inner(キュアインナー)始動。 現在エシカルファッションを安価にして多くの人に届ける受注生産システムを作る為、クラウドファンディングに挑戦し成功。 https://greenfunding.jp/lab/projects/1946
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