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ルンがついに出産! 「誇り」という最高のアクセサリーを身につけて輝くPhuhiepのアーティザンたち

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「Phuhiep」のアトリエで仕事をするアーティザンは、トレーニー(見習い)やパートタイム、また管理部門のマネージャーやスタッフ等も含めて全員が、主に二十歳前から半ばまでの女性たち。彼女たちは皆、元船上生活者の家庭出身で、陸上での生活を余儀なくされた後、強制居住区で生まれ育ち、壮絶な環境下で生きてきました。彼女たちの祖父母や親の多くは安定した仕事を持たず、精神的な不安や無力感から、酒やギャンブルなどに溺れていく人も数多くいます。そんな中、いつでも家族を引っ張ってきたのは、女性たちだったと感じます。

→前回のお話「ガールズパワーが止まらない!

女性はいつの時代も、強く、生きる。そして子どもを守ってきた

「Phuhiep」の女性アーティザンたちの家族に、その生い立ちや、これまでの人生の歩みを一つひとつ尋ね聞いていると、どれほど過酷な環境の中にあっても、過酷であればあるほど、その家族の行く末は女性たちの手に委ねられていたような気がします。

戦火を逃れ命からがら逃げて全てを失い、その現実に耐えられず蒸発してしまった夫に代わって、子ども3人を育ててきたおばあちゃん。不運にも子どもや夫を事故や病気で亡くし、高齢になって授かった末っ子女児を育てるために、陸地への居住を強いられた後も、徒歩で2時間掛け、遠く離れた市場に通い、日銭稼ぎのために、荷物持ちなどの力仕事をする50代の女性……。

必死に踏ん張って、どんな手段を取ってでも生きることと、子どもたちを育てることを決して諦めなかったのは、昔もいまも、女性たちの底知れぬ強さであったことを実に思い知らされるのです。

(右:Photograph by Ha Le、左:Image by Phuhiep)

(右:Photograph by Ha Le、左:Image by Phuhiep)

身近なロールモデルとなりつつある、「Phuhiep」女性アーティザンたち

「Phuhiep」最古参アーティザンの一人であるルンは、人懐っこくて人情味溢れる、19才の女性です。繊細な手仕事が特に得意な、安定感ある仕事で頼りになるアーティザンです。数年前までの彼女は、元船上生活者の居住区に住む、はにかむように幼い笑みを浮かべる、内気で痩せっぽちの少女でした。その彼女が「変わるんだ」という強い意志を持ち、その炎を消すことなく、6年間必死で食らいついてきました。

いま、安定した収入を得て暮らせるようになった彼女は、自分のことはもちろん、家族の食費も自分の収入で手伝い、洋服やヘアゴムなど少しだけ自分の欲しいものを買い、わずかながら貯金もできるようになりました。

毎朝彼女がアトリエへ出勤してくるときは、きちんと櫛で髪をとかし、清潔に洗濯をしたお気に入りの洋服に身を包み、きりっとした表情でやってきます。仕事場という、緊張感が必要な場に来るんだという、気概を感じます。その姿は、内職や不安定な日雇い労働がほとんどで、アルコールやギャンブルに明け暮れる大人の姿が当たり前だった、元船上生活者コミュニティの小さな子どもたちの目には、希望と憧れとして映っているに違いありません。ルンといっしょに働きたい! という女性がアトリエを訪ねてくるのです。

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