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ファッション業界の中心からみた「エシカル」とは?

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4月22日(土)、田中千代ファッションカレッジにて、一般社団法人エシカルタウン原宿主催のFashion Revolution映画上映&トークショーが行われました。第1部ではFashion Revolution運動のきっかけとなったバングラデシュでのラナ・プラザ崩壊事故を中心にファッションの裏側を鮮烈に描いた「ザ・トゥルーコスト 〜ファストファッション 真の代償〜」が上映され、会場を訪れた人は映し出される衝撃的な映像に釘付けとなっていました。
その後BEAMSのクリエイティブ・ディレクターである南馬越一義氏と、雑誌「Numero Tokyo」のファッション・クリエイティブ・ディレクターである軍地彩弓氏を迎え、MCを務めるエシカル・ファッション・プランナーの鎌田安里紗氏とともにエシカル・ファッションについてのトークショーがありました。今回は、ファッション界の中心で活躍するお二人のお話を中心に、未来のエシカル・ファッションについてレポートします。

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ファスト・ファッションがアパレル業界に与えたインパクトとは?

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The True Cost 〜ファストファッションの真の代償〜

まずトークで出た話題が、今やアパレル業界において当たり前の存在となった「ファスト・ファッション」について。デザイン性が良く、それでいて安く買える海外のファスト・ファッションブランドが日本に上陸したことで、日本のアパレル業界の状況は180度がらりと変わりました。「リーマンショック後ということもあり購買意欲が全体的に落ちていましたが、ファスト・ファッションが出てきたことにより若い女性のファッション欲が再び刺激されたのではないでしょうか。私自身、ViViで雑誌を作っていた時はファスト・ファッションを盛り上げるような役割を果たしていました」と軍地氏。一方で南馬越氏は、「ファスト・ファッションブランドは、BEAMSにとってははっきり言って脅威でした。BEAMSの顧客の中でも、特に若い世代がどんどんファスト・ファッションブランドに流れていきました」と言います。ちょうどファスト・ファッションが人気を集め出した当時に渋谷109で販売員をしていたという鎌田氏は、お店にきた若い子達が「このデザインだったら、さっきのH&Mの方が安くで売っていたと話すのを聞くことが多くなりました」と振り返っていました。

 

MADE IN JAPANに価値を見出すデジタル・ネイティブ世代

ファッションの中心地、新宿でBEAMSが2016年に新しくオープンした「BEAMS JAPAN」。「日本のものづくり、日本のセンスの集積」と南馬越氏が表現するように、Made in Japanにこだわった洋服や日本文化を伝えるアイテムを多く取り揃えており、日本のものづくりの素晴らしさを前面に押し出しています。海外からの観光客に人気を集めているのはもちろんのこと、国内のお客様、特に若い世代からの注目が高いと言います。「若い世代は生まれた時からPCやスマートフォンが当たり前のデジタル・ネイティブ。今やSNSで、国境を越えてたくさんの人と繋がれる時代です。そんな時代を生きている若い人たちは、日本と世界をフラットに見ているような気がします。一世代前の海外信仰のような気分はなく、日本にある良いものも、より詳しく知りたいという気分があるのではないでしょうか」と軍地氏。グローバリゼーションがめまぐるしいスピードで深化する今だからこそ、自分が住んでいる国や地域のことを今一度見直そう、良さを再認識しようという一種の愛国心が若い世代を中心に芽生えているのかもしれません。

 

ファッション界の中心にいる二人からみた「エシカル・ファッション」ってどんな存在?

人や環境に優しい方法で作られた服、エシカル・ファッション。社会や環境に大きくリンクしているからこそ、社会問題に関心のあるNPO団体やボランティアの目線から語られることがしばしばです。しかし、モード雑誌の編集者と日本を代表するアパレルブランドのディレクターという、まさにファッション界の中心で活躍するお二人の目には、エシカル・ファッションはどのように映っているのでしょうか?

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軍地氏は、特に「エシカル」と謳ってなかったとしても、生産過程において素材にこだわったり、生産者が持つ技術を最大限に活かして丁寧にものづくりをしているブランドは世界にたくさんあるとしたうえで、「エシカル・ファッション」という概念が消費者の意識をより洋服の生産背景に向けるきっかけになるのではと言います。また、エシカル・ファッションというと「やらなければならないこと・義務」という風に捉えられがちだが、自分のライフスタイルとのバランスを図ることがとても大事なのではとおっしゃっていました。頭のてっぺんから足元まですべてエシカル100%を着なければいけないという義務感ではなく、素敵だなと思ったものを少しずつ、自分のスタイルに合わせて取り入れていくことが、エシカルを自分の習慣にするために大切なのかもしれません。
また、南馬越氏は「正直、エシカル・ファッションを最初に聞いたときは抵抗があった。エシカル・ファッションに関わっている人はこんな人だろう、という人物像への偏見も少なからずあった」と正直な思いを告白。その一方で、エシカル・ファッションの社会的な重要性は非常に高いとし、「広まっていかなければならないものだと思う」とおっしゃっていました。

 

当日は会場の座席が満席になる程たくさんの人が集まっており、エシカル・ファッションへの注目度が高まっていることを肌で感じることができました。特に若い世代がたくさん見受けられ、彼らがこれからどのようにエシカル・ファッションに関わり、どのように盛り上げていくのかが楽しみです。
ファッションの分野・そして世代を超えて、エシカルを共通言語としてディスカッションする場が今後増えてくのではという希望を感じさせてくれるイベントでした。

<文:大嶋結衣>

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