アジアでも急速に伸びつつあるエシカルなファッション。その実のところはどうなのでしょうか? シンガポール発のエシカルブランド「ETRICAN(エトリカン)」のデザイナー/設立者である宇野有実子さんが4回にわたりシンガポールのエシカル事情とその中で奮闘する「ETRICAN」のものづくりについて寄稿してくださいました。第3回目は、エシカルなものづくりのためにどのようにして工場を選んでいるのか、どのように工場と付き合っているのかについてです。 第1回目「シンガポールのエシカル事情」 第2回目「ETRICAN設立まで」
GOTS認定とは? それが意味するもの
第3回目の今回は、私たちが提携しているインドの田舎町にある小さな工場についてお話したいと思います。「ETRICAN」の衣類を生産している工場は私たちのブランドと同じくとても小さいです。この工場を選んだ理由はまず最初に前回の記事でも挙げたようにGOTS(※オーガニック・テキスタイルの世界基準、Global Organic Textile Standard)認定であったこと、そしてそのアットホームな環境が気に入ったからです。
GOTS認定とはオーガニックコットンの栽培・加工の過程でオーガニックの基準を満たし、さらに製造過程では賃金、労働条件、工場の安全面などで基準を満たしていることを証明するための、消費者が信頼できる保障を与えるラベルのことです。最近では、バングラデシュの縫製工場の火災で100人以上の女性が犠牲になるニュースがありました。非常階段がないなど、働く場として当たり前の条件が満たされず、いまだにこのような悲しい事件が起きています。
車や食品などでは、エコやオーガニックといった言葉を見かけるようになりました。しかし残念ながら衣料品に関しては、ありふれたTシャツ1枚を作る裏側で起きている環境破壊や労働搾取などについて、あまり知られていないように思います。そのような状況の中で、しっかりとした国際基準策定機関を通してエシカルな商品を提供するのが私たちの責任だと感じています。

明るく広々とした工場のようす。
工場がGOTS認定を受けるには、ヨーロッパから検査官を招聘する必要があるなど、時間もお金もかかるプロセスで、大規模な工場であってもその決断を渋ります。私たちの提携する工場がその決断に踏み切ったのは、汚染や搾取を目の当たりにしてきた彼らが、エシカルであることこそ彼らの環境と生活を守る手段だと理解しているからです。
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