通勤は地下鉄で、という信國さん。こんなにビシッと決まった人が地下鉄に乗っていたら思わず二度見してしまう。
テーラー・信國太志さん。「テーラー」とご紹介すると、ちょっとソワソワしてしまいます。なぜなら、「信國太志」といえば、デザイナーとしての輝かしい経歴を持つ人物だから。
1996年にイギリス、セントラル・セント・マーチンズ美術学校修士課程を修了後、1998年ファッションブランド「TAISHI NOBUKUNI」を設立。2004~2008年にかけて、「TAKEO KIKUCHI」のクリエイティブディレクターを務める中、2007年に自身のブランドをリニューアルし、ブランド名も「BOTANIKA/taishi nobukuni」に。使用するコットンは100%オーガニック、ファーを一切使わないなど、「植物の持つ力」「環境問題」などをファッションから発信する「BOTANIKA/taishi nobukuni」の登場は、カッコいいオーガニックファッションを求める人々の光明となりました。
その信國さんが、イギリスのビスポーク(※「注文の〜」の意味で、オーダーメイドを指す。”Bespoke”)テーラー「チャーリー・アレン」の下で習得したテーラリングに加え、日本の仕立ての技術を学び、銀座にテーラーサロンをオープンしたのが2011年秋。
デザイナーからテーラーへとシフトする中で変化したこと、変わらずあるもの……信國さんの「今」を聞くため、銀座へ伺いました。ヨガやチベット仏教などにも精通する信國さんとのお話は、エシカルの先にあるものに思いを馳せる時間となりました。
「恐怖心」 = 大切にしたい気持ち
Q. テーラーのスタート当初は、同時期に設立したブランド「PSYCHO TAYLOR(サイコ・テーラー)」のコレクションを発表するなどデザイナーとしての仕事も並行して行われていたかと思いますが、テーラーとデザイナー、現在の仕事のバランスはどのような感じですか?
コレクションというかたちでは、今はやっていません。オーダーを承るテーラーとしての仕事のみをしています。いらっしゃるお客様はフルオーダーされる方がほとんどですね。
Q. 思い入れのある生地や、オーダーされる方のこだわり……さまざまなオーダーがあるかと思います。お客さまのオーダーに向き合うときに大切にしているものはありますか?
「恐怖心」ですね。失敗するかもしれない、という恐怖心。
テーラーというと伝統的なやり方を踏襲していると思われがちですが、実は人それぞれ。例えば、背幅一つとっても、骨格や肉のつき方はまちまちで、お客さま1人のデータが加われば平均値も変わります。ずっと続けてきた採寸法も、一つ失敗すれば疑ってかかります。採寸の仕方やメソッドを常に更新して、自分なりの答えを見つけていきます。そのため、採寸から裁断、縫製、アイロンによる仕上げまで、人に任せず総合的にやらなければいけないのは難しいですし、一人ひとりの気持ちに関わるという点で、テーラーはデザイナーよりも心理的にキツいですね。
Q. 信國さんといえば、これまでヨガ、チベット仏教などストイックに探究する姿勢や、サーフィンをしたり、ベジタリアンであったりと自然志向なライフスタイルが印象的でした。仕事での心理的なキツさをリセットするのは、やっぱりヨガやサーフィンですか?
ヨガはもうやっていないのですが、日々の中で呼吸法や瞑想は自然にできます。
The post TAISHI NOBUKUNI の「今」を語る3つのキーワード。そして、エシカルの先にあるもの。 ― テーラー・信國太志氏インタビュー appeared first on ETHICAL FASHION JAPAN.